〜珈琲について〜
ここ最近金がなく、珈琲を淹れれなかった。
というか珈琲豆を買えなかった。
ようやくほんの少しの余裕ができて珈琲豆を購入。
たそかれのマンデリンとひばり屋のルワンダ。今日はたそかれのマンデリンを淹れる。
久々に珈琲の準備をして思う。「あぁ、俺、珈琲淹れる時間好きなんだな」
毎日、一日一回、珈琲を淹れる。カフェオレの日もあるし、カフェラテの日もあって、エスプレッソだったりもする。夏の暑い日はアイスコーヒーが美味しい。
そんな日常の風景に馴染んだルーティンだった。
白い陶器のポットに水を入れコンロのつまみを一番奥まで回す。
カチッチッチッチと音が鳴って火がつく。
珈琲フィルタを取り出して折り目をつけてドリッパーにセット。珈琲豆を選び考える。大好きなたそかれの袋を取り出す。
ジャッジャと珈琲豆が擦れる音。
ミルに一人分の豆15グラムを落として荒さを調節。
ガリガリと砕かれる珈琲豆から深煎りマンデリンの甘い香りが漂う。
フィルターにさっと流し、指で真ん中に窪みを作る。
お湯が沸いた。一度ドリップポットに移し、それを高いところからコップに移す。もう一度ポットへ。
ポットを右手の薬指と中指の2本で持ち上げ親指をゆっくり倒していく。
ポトポトとお湯が珈琲豆に落ちていく。立ち上る煙と一緒に香りがブワッと一気に広がる。
全体にお湯が行き渡ったら1分半蒸らす。
耳を澄ますと、シュワシュワと珈琲豆が歌っている。乾燥している豆に水分が入り込み蒸気を出して珈琲の美味しいエキスが滲み出る。
中心から円を描くようにゆっくり丁寧に回し淹れていく。
丁寧に、丁寧に、丁寧に。
心が静まり、呼吸が遅く深くなって、整っていく。
お湯が落ちた所の豆は泡が出て膨らみ、広がっていく。
均等に、広く高く膨らむ珈琲豆の気泡。美しく動いている。
150mlまで入れたらドリッパーをサッと切る。
黒、ではない。深い藍色、とも違う。珈琲の色を何と表すのかわからない。
サーバーに入った珈琲を一回り、二回り揺らしコップに注ぐ。
白い湯気と香りは寒い冬の部屋の中には目立つ。
コップの淵に口をつけ空気と一緒に啜る。
瞬間、口の中に広がる香りと甘み。ふぅーっと一息。
今日はいい1日になる、そんな予感のような確信があった。